試行錯誤ブログ

試行錯誤してます

52.「2022年前半に読んだ本」

2022年は開幕から絶不調だった。

中学野球部の時にコーチから「調子を聞かれたらいつでも絶好調ですと答えとけ。起用されるから」と言われて以来、基本体調悪くても絶好調ですと答えてきたけれど、この頃は開口一番「しんどい」と答えるようになった。ある意味15年近く経って本音を言えるようになったかもしれない。呪縛は解かれた。

しんどいのは仕事が大変だったせいだけど、加えて職場の人間関係もよろしくなかったから体力面・精神面どちらも非常に危機的状況に陥っていたような気がする。

というか仕事の進め方からよくなかった。

そのころの職場はメールしかなく、週3の在宅勤務中で他の人に質問したいときには、初めに「申し訳ありません」と一言添えて長文で質問メールを送っていた。この始まりの「申し訳ありません」がメンタルに悪影響を及ぼしていたと思う。まるで質問が悪いみたいな感じで。リーダーポジションの人が質問のたびにそうしていたから倣っていたけども、真似するべきではなかった。しかし、「申し訳ありません」と付けることが習慣化されていて今更やめられなかった。仕事を進める上で各方面にいろんな確認が発生するけど、その確認はリーダーを通じて行う。リーダーはその確認も本当に申し訳なさそうにメールを送る。リーダーにとってメール文面の「申し訳ありません」は本心で謝罪の意が込められているらしい。あなたが現在行っている仕事を中断させ、こちらの質問のために時間を割くというお手数をおかけして、誠に申し訳ありません、的な。この精神は大事ではあるけど、リーダーからこちらへの質問メールにもその意は込められている。同じチームだし仕事の範疇だろうからもう少し気軽に質問してほしい。そしてこちらも気軽に質問したかった。ある意味非協力的な態度ともいえる。他人に迷惑かけたくないという信条が少しばかり逸脱しているのではないか。そんなモヤモヤが鬱憤として累積していった。

もとよりリーダーに提言すればよかった。もっとフランクにやりましょうよ、と。しかし、こちらの社交性が欠如しているので言わなかった。これもこれで非協力的な態度だった。言わない結果、苦しんでいる。非常に良くない。次第に仕事に追われるようになり、そんなことも考えなくなった。

休日はもう何もしたくないなと言う気持ちでいっぱいだった。

映画を予約してもすっぽかすみたいなのを月に5~6回してたし、仕事中に眠気覚ましでコーヒーを飲むと、昼頃にはお腹を下す音がめちゃくちゃ聞こえてきて午後は頻繁にトイレに行った。

そんな状態だと映画やドラマもしんどい話が見れなくなっていた。社会派の作品やシリアスな作品、時系列ぐちゃゃぐちゃな作品よりも単純明快な話を主に見ていた。

一方、本はそもそも読む気すら湧かなくなった。だから昨年末から読み進めていた本を1月2週目ぐらいに読んだ後、次に1冊読み終えたのは3月だった。

 

■『テスカトリポカ』佐藤究

昨年末から呼んでいた本。

メキシコのカルテルのボスだった男が襲撃に遭って命からがら逃げのび、なんやかんやあって川崎で子どもの心臓売買を始める話。またその心臓売買にいろんな形で関わってしまう人を描いた群像劇。

冒頭のエピソードから衝撃的だった。このままメキシコにいると、やがてカルテルに見つかりクスリの売人をやらされる未来が待っている。なので壁を越えてアメリカへ向かったり、南下してそのまま海を渡り海外へと逃亡する。しかし、国境は警備員が守っているし、安全なルートを知っているという人と知り合っても結局そいつはカルテルの一員で殺されてしまう。また国外へと逃げ延びても正規の仕事は見つからず、怪しい仕事に手を出して仕舞にはクスリに手を出してしまう。クスリの売人が嫌だから逃げたのにクスリに手を染めてしまうという皮肉が最悪だった。

カルテルのボスが襲撃から逃げ延びる様子も最悪だった。道すがら会う人会う人殺しまくっていた。自分のことを認識した者はいずれ追手に脅迫され存在をバラすだろうという判断で。だから車を手配してくれた部下も、たまたま通りかかった家族もみんな死んでった。変にキャラに愛着沸かせたうえで死ぬようなことはなく、淡々と人殺しが行われていくのであまりそこまで思いをはせることは無く、ストレス抱えまくっていた時に読むにはちょうどよかったかもしれない。

「鎌倉殿の13人」はキャラに愛着沸かせたらそれが死亡フラグとなって死んでいくから割としんどい。昨日まで味方だったヤツも殺さざるを得なくなるからやばい。

テスカトリポカで一番愛着湧いたのは10代の少年コシモだった。実質主人公格。コシモは学校に行っていないため読み書きが出来ない。しかし、有り余るパワーによって罪を犯し、少年院へ入る。少年院では工作の才能が花開き、出所後はある工房で働くことになる。その工房では包丁を作っている。その作り方を真摯に学ぶコシモの姿が良かった。しかし、この工房はすでに川崎に逃げてきたカルテルのボスと関係を持っていて、コシモがやがて心臓売買と関わってしまうことが確定しているというのが中々しんどかった。

終盤、やや駆け足気味で急に終わった感はあったけど面白かった。

 

■『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー

面白いとの評判が流れてきたので読んだ。面白かった。

目覚めたら真っ白な部屋。そして自分自身が何者なのか忘れ、過去の記憶すらない。

なんとなくデスゲーム系でよくありそうなシーンから始まる。

しかしそこから、そもそも部屋の重力が地球のそれではないのでは?と思い、測定作業を始めていく。なぜ測定が可能なのか、それは高校で科学の教師をやっていたからだ。と、ちょっとしたことから過去の記憶を取り戻し、思い出した科学の知識を使って部屋の謎を解いていく。この過程が面白かった。ただ理不尽な展開が起こるのではなくて、自分の知識を使っていく。すごく学生時代にもっと勉強しとけばなと思ったし、また今からでも勉強したくなった。

中盤でジャンルが様変わりするけどそこからも面白かった。

ひたすら絶望的な状況だけど、常に前向きな主人公の姿勢もよかった。

 

■『平家物語 犬王の巻』古川日出男

200ページぐらいで短く、淡々と犬王の歴史が描かれていく。

変にドラマチックに描いているのではなく、あくまで淡々としていたのが良かった。映画では主人公2人が成り上がっていくまでの道中を楽しく描いてほしく、またクライマックスは変に感情的なものではない方がいいなと思ったけど、違った。

 

■『ブリーディング・エッジ』トマス・ピンチョン

911が起きたある2001年春から翌年の春まで、その1年間を描いた話。

難しかった。

場面転換が激しく、すぐに話を見失う。

知識量が多く、よくこんな話を書けるなって感じ。

この本読んで以降、他の本が凄くわかりやすいなと感動した。

何度か読まないとこの本で描かれていることが掴めない

 

■『熱帯』森見登美彦

熱帯という誰も結末まで覚えていない本の謎を巡る話。

実験的な小説だった。実験的過ぎて、構造は面白いけど、この構造で他に面白くできそうな方法がありそうな感じ。

この作者の映画やアニメの方は好きだけど、原作はあまり好きじゃないことが多い。有頂天家族と夜行は良かった。

 

■『怪物』東山彰良

始めにこの物語は夢オチであると宣言される。

夢オチという構造面に新たなものをもたらした作品かと思ったら違った。

遠く離れていても元気にやってほしいみたいな愛が描かれた作品だった。

あんま面白くなかった。

 

■『IT(1)』スティーブン・キング

リメイク映画が公開されたときに1回読んだけど、怖くて2巻途中でやめた。

改めて1巻から読み始めた。全4巻で1巻500ページ、総2000ページぐらい。

本を開けば文字でびっしり埋まっている。文字に溺れる感じ。

改めて読んでみて、ペニーワイズも怖いけど、人間同士で行われる暴力描写の方がやばかった。全てを描写してくる勢いなので想像がしやすい分、例えば殴られるときも具体的にどこにどんな一撃が与えられ、どうダメージを負ったのかが分かりやすく描写されるので痛々しすぎる。また暴力に至るまでのフリも長いので、早く殴ってくれよとなる。実際殴るシーンになってからも嫌な描写ばかり続くので、読んでいて疲れる。

 

■『ハケンアニメ!」辻村深月

映画が面白かったから読んだ。映画はうまくまとめたんだなって感じ。

小説も面白かったけど、なんかどうすることも出来ない絶望感が足りないなと感じた。

結局しんどい小説ばかり読んでいたのでエンタメ系を読みたくなったから読み始めたのに、絶望感に飢えてしまった。

小説は面白かったけど、悪い意味でスラスラと読み進められた感じ。絶望が欲しい

みんないいキャラだった。

 

4月からは異動となり、だいぶ色々と落ち着いてきた気がする。

やり取りはメールからチャットになり、質問もしやすくなった。

やはりツールによる影響も大きいことが分かった。BTSも言ってた通り、構造というか側がメンタルに影響を与えている側面もある。

お腹の調子もヤクルト1000を飲んでからマジで改善された。

今季初めて扇風機を使用したある日の夜、夜中ずっと回していたら突如としてお腹からグルグルと音がした。扇風機を回すと同時に布団も閉まってタオルケットのみにしたこともあって、お腹を冷やしてしまった。その日の夜はトイレにずっと籠ることを覚悟した。

しかし、なんとか耐えきった。3月までなら確実にダメだったがヤクルト1000のおかげで冷えにも耐えきる腸に仕上がった。

最高だった。半日もの間下痢に苦しんでいた時が嘘のようだった。ヤクルトに感謝である。

一方、ヤクルト1000は結構な砂糖が使われているみたいな話もあるし、腸内環境も改善されたことが実感出来たので解約しようとした。しかし、家に来るヤクルトレディの方が大幸さんのため、中々解約できずにいる。幸せを手放してしまいそうで。ヤクルト1000の無料配布が終わって契約するかしないか迷っていた時もヤクルトレディが大幸さんという苗字だから契約したようなもんだし。

ヤクルト1000を飲んでいる人に辞め時を質問するしかない。