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48.「竜とそばかすの姫」トラウマとクライマックスの関係性が見えなくて

※クライマックスのネタバレをめちゃくちゃしています。

 

「竜とそばかすの姫」を見ました。

中村佳穂さんの歌がよかったです。また声優も初めてながら特に違和感なく、むしろ上手く作品世界に馴染んでいて今後もまた何かしらで見たいなと思いました。ただ疑問に思う展開やセリフが多々あり、次第にそれらが蓄積し、ノイズとなってあまり作品世界に没入出来ませんでした。その中で一番気になったのは、主人公すずが現実世界で歌えなくなった原因であるトラウマシーンと、そのトラウマを払拭するために描かれたであろうクライマックスの関係性がどうにも見えてこないことです。すずの友人であるヒロちゃんよろしく疑問を提示するのでいつか誰かから返答もらえたら。ちなみに1回しかみてないのでたぶんに間違えているかも。

 

いきなりネタバレしますが、すずはあるトラウマを抱えていることが序盤で明らかになります。それは幼少期、母と河川敷へ遊びに行ったときに起きました。河川敷ではBBQなどをしている人で賑わっている中、雨が降ってきたため、氾濫の危険からみんな急いで避難を始めます。しかし、川の中州にすずと同じく低学年ぐらいの子供が取り残され、どうすることも出来ず泣いていました。その様子に気付いたすずの母親はライフジャケットを装着し、川の流れが激しさを増しているにもかかわらず助けに行きます。「お母さん」と必死に叫ぶすず。見守るだけの他の人。このシーンは幾度か描かれ、結果的に中州に取り残された子供は救急隊員に助けられたと分かります。そして、すずの母親はたぶんそのまま川に流されてしまったんだなと想像できます。これがトラウマとなってすずは歌えなくなり、高校時代にはクラスの友達にカラオケを強要された拒否反応として嘔吐までします。すずにとって歌は母親と一緒に遊んだ大切な思い出であり、歌うことでもう母親がいないと強烈に意識してしまって歌えなくなったんだろうと思います。

 

一方、クライマックスでは父親のDVに悩まされる兄弟を助けにすずは遥々東京へと向かいます。この兄弟の関係性はトラウマを抱えた時の状況と酷似しています。

トラウマシーンでは、氾濫の危機に遭う子供と身を挺して守ろうとするすずの母親。

クライマックスでは、DVの危機に遭う弟と身を挺して守ろうとする兄。

実際、兄は弟の身代わりとして暴力を受け、その光景をすずは目撃します。すずの母親が氾濫の被害を子供に代わって受けたことを目撃するとこまで似ていることから、いてもたってもいられず東京へと向かったと思われます。ここから単純に考えると、すずは困っている人をとにかく助けたいんだろうなと考えられます。

 

すずは困っている人を助けられなかったから、次こそは助けたいと思っている説

 

こう考えると、ライブを邪魔されたにもかかわらず竜を心配した理由もわかります。竜は追われており、みんなからも非難されて困っていたからです。困っているように見えたからすずは助けなきゃいけないんじゃないかと思ったんでしょう。

しかし、これをトラウマシーンとクライマックスに当てはめると途端に成立しません。先にクライマックスから考えると、東京に着いたすずはまず弟と出会い、無事を確かめるように抱きしめます。次に現れた兄とも出会って無事を喜びます。その後、兄弟の父親が来ると、2人を庇うように抱きしめ、父親に対抗します。父親から怪我を負わされてもなお立ち向かいます。すずは、この映画で描かれる一連の体験を経て、身を挺して守れるようになったと言えます。やや危険ではありますが。とにかく、困っている2人を身を挺して守れるように成長したとすると、トラウマシーンではそれが出来なかったと言えます。であれば、すずは中州にいた子供とそれを助けに行こうとする母親の2人を助けられず悔やんでいたとなります。しかし、たぶんそうではないでしょう。まず母親は困っているようには見えません。むしろすずが困っていました。だとすればあの頃困っていたすず自身を助けたくてクライマックスのあの行動に出たのでしょうか。ちょっとよくわかりませんが。

 

 

力尽きたのでヒントを求めてパンフレットを読みました。

話は逸れますが、今回のパンフレットは声優陣やスタッフ陣のインタビューだけでなく劇中歌の歌詞もたくさん載っており、またそれぞれが場面写真と共に記載されているため、このシーンの歌かと簡単に思い出せて充実したものになっています。

 

そのパンフレットには、トラウマシーンに言及している文章も記載されていました。

パンフレットは無断転載等禁止と書かれているため、一切何も記載しません。買って読んでいただきたいです。そして読んだ暁にはここまで書いた考察は一切違うなと分かると思います。そして尚更トラウマシーンとクライマックスが繋がらない気がします。しかし、そもそも繋げる必要がないかもしれません。見方が誤っているのかも。どうなんでしょうか。繰り返しになりますが、トラウマシーンとクライマックスの状況が酷似していることからあの時何も出来なかったことにある種悩まされていた。だからこそクライマックスの行動に繋がっていくのだろうと。しかし、母親と一緒に自分も助けに行けばよかったと思っているかと言えばそうではなく、結果的に子供は助かっているし、そもそもパンフレットに書かれている内容からは全然違うんだなとなる。何が論点なのかよくわからなかったので一旦ここで終わりにします。

何かしら浮かんだら追記するかもしれません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。