試行錯誤ブログ

試行錯誤してます

アニメか漫画か何か①「レジ・スタンス」

  • 牢獄

    座っている男がライトアップされる。

 

男          「やあ、僕はジャック。いきなりだけど質問だ。僕は今どこにいると思う?・・・正解は、見ての通り牢獄さ」

 

              男の周りが明るくなり、そこが牢獄の中だと分かる。

 

ジャック 「結構広いでしょ。ここに一人ぼっちでいる。正直めちゃくちゃ暇。それに寂しい。でも、もうすぐここともサヨナラなんだ。やったね。あ、別に脱走するわけじゃないよ。刑期がもうすぐ終わるんだ。・・・確かに脱走計画を練る時間なんていくらでもあった。でも僕がここで考えてたことは別のこと。それは、復讐の計画さ」

 

              不敵に笑うジャック。

 

ジャック 「僕が一体誰に何を復讐するのか。それを話す前に一つ、今君が思っている疑問を解決しないといけない。それは「なぜこんな気の優しそうな人が捕まっているんだろう」君はそう思っているはずだ。別に自画自賛してるわけじゃないよ。いや多少はあるけども。年に一回行われるこの町の「あの人気が優しそうな人選手権」を2連覇もしてるんだ。結果が物語っている。とにかく、なぜ僕は捕まっているんでしょう」

 

              時計がチクタクなる音

 

ジャック 「何かを盗んだから?それとも誰かを騙したから?それとも誰かを殺したから?全部違う。ではなぜ僕は捕まってしまったのか。そして誰に復讐したいのか。時間は少し遡る」

 

  • コンビニ

 

              時間が遡る演出。

              とあるコンビニ。

              店内に暇そうにしている店員姿のジャック。

 

ジャックNA(ナレーション) 「僕はその日、コンビニでアルバイトをしていたんだ」

 

              暇すぎて絶望しているジャック

              まじでやばい顔

              そこに男女2人組が入ってくる。

              普通の青年とお嬢様風の女の子。

 

メイベル 「リッキー!なんでこの私がこんな店に来なきゃいけないわけ?」

リッキー 「しょうがないじゃんメイベル、目当てのものはここにしかないんだから」

メイベル 「もしこの店になかったらただじゃおかないからね!」

リッキー 「ええーなにすんの?」

メイベル 「あなたに肉を巻き付けて自宅のワニ園に突き落とす」

リッキー 「マジで最悪」

メイベル 「なら、ここにあるのを祈ってることね!ほら!さっさと行きましょ!」

 

              2人は店内を散策しだす

 

ジャック 「いらっしゃいませー」

メイベル 「まあ汚らしい」

 

              メイベルはジャックにそうはき捨てて店内の奥へ

 

ジャック 「え」

リッキー 「いやあ、ごめんね。彼女気分屋で。特に今はある物が見つからなくて最高に不機嫌なんだ」

ジャック 「普段からあんなんじゃないの」

リッキー 「そんなことはないよ!いつもの彼女は最高なんだ!」

ジャック 「ほんとに?」

リッキー 「ほんとだよ!!!!!(ぶち切れ)」

ジャック 「・・・(きょとん)それであるものって?」

リッキー 「ああ、ミネラルリッチスーパーバニラデニッシュっぽいアップル風味のソフトクリームのコーンさ」

ジャック 「ああ、あのミネラルリッチスーパーバニラデニッシュっぽいアップル風味のソフトクリームのコーンか。」

リッキー 「そう!ある?」

ジャック 「あるよ」

リッキー 「(目を輝かせる)遂に・・・遂に、僕はやったんだ・・・!!!」

ジャック 「ずいぶん大変だったみたい。ところで彼女ってあの大富豪ワープスブルグ家の子じゃないの?」

リッキー 「ああ、そうだよ。ワープスブルグ家のメイベル。ちなみに僕はリッキー」

ジャック 「大富豪なんだから敷地内にお店とかないの」

リッキー 「そこまでの富豪じゃない」

ジャック 「(肩をすくめる)」

リッキー 「それに彼女、すごい潔癖症なんだ」

メイベル 「あったわ!!」

 

              メイベルがコーンをレジに持ってくる

 

メイベル 「さ!やって頂戴!」

ジャック 「はーい」

 

              ジャックがコーンを受け取ろうとすると、

              メイベルが棒でジャックの手をはたく

 

メイベル 「触らないで!こうやって持ってるからそこをこう!」

ジャック 「??」

リッキー 「ね」

ジャック 「あのーメイベルさん。そんな状態だととてもじゃないけどできないよ。ほら、はたいちゃう。ほら、ほら!だからね、こうしてこう」

 

              ジャックは再びコーンを持とうとする

              しかし、それをはたくメイベル

 

メイベル 「こいつ耳ないわけ!リッキー!ちゃんと言ったの?私は潔癖症だって」

リッキー 「もちろん!!」

メイベル 「じゃあなんでこいつはこんなことしてくるの!?」

リッキー 「それは・・・」

ジャック 「メイベルさん安心して、僕はちゃんとわかってる。でもね、この世にはどうすることもできないこともあるんだ。というか全部自分の思い通りになると思うな!」

メイベル 「ああそう、それならしょうがないわね」

ジャック 「お」

メイベル 「あんたのその態度、気に入らないわ!」

ジャック 「ん?」

メイベル 「訴えてやる!」

ジャック 「え?」

 

  • 裁判所

 

              裁判官や検察、弁護士がおり、陪審員もずらっと並んでいる。

              傍聴席にもちらほらと人がいる。

              検察の隣にはメイベルがおり、被告人席にジャックがいる。

              客席にいたリッキーがジャックに話しかける。

 

ジャック 「ほんとに訴えちゃうのかよ!」

リッキー 「いやあ、ごめんね。僕からも言っておくよ、罪軽くしてくれって」

ジャック 「有罪確定なの!?」

リッキー 「彼女そんな本気じゃないと思うから」

ジャック 「う~ん?」

リッキー 「それに誤解しないでほしいのは普段の彼女はとても優しいってこと!」

ジャック 「ほんとに?」

リッキー 「ほんとだよ!!!!!」

ジャック 「・・・」

裁判官 「静粛に。皆さん、着席を。それでは検察官どうぞ」

検察官 「はい。当時、被告人ジャックは店員としてコンビニに滞在していました。そうですね?

ジャック 「(頷く)」

検察官「そこにこちらのメイベルさんがいらっしゃったと。そしてなんやかんやあって不適切な行動をしてしまったと、そうですね?

ジャック 「何が?」

検察官 「以上です」

ジャック 「説明不足!」

裁判官 「弁護人、何かありますか?」

弁護士 「ありません」

ジャック 「なんで!」

裁判官 「それでは判決を言い渡す。判決 主文 禁固3年」

ジャック 「長い!!」

 

              傍聴席から拍手と歓声が沸く。

 

メイベル 「勝ち取ったわ」

ジャック 「ちょっと待ってよ!おかしいよ!こんなので禁固3年もだなんて!おい!勝ち取ったんじゃなくて、どうせ裁判官とか全員買い取ったんだろ!」

メイベル 「(みんなにシーとやる)」

一同 「(頷く)」」

ジャック 「シーってなんだ!頷くな!」

メイベル 「でも、確かにちょっとかわいそうね。いいわ、少し減刑してあげる!裁判官!」

裁判官 「判決 主文 禁固1か月」

 

              傍聴席から再び拍手と歓声が沸き起こる

 

ジャック 「(それを見て)反応に困る・・・でもちょっと嬉しい」

 

  • 護送車

 

              ジャックが護送車で牢獄まで運ばれている。

 

ジャック 「やっぱりすごくやだ」

 

              ジャックの隣にリッキーがいた。

 

リッキー 「いやあ、ごめんね。こんなことになっちゃって」

ジャック 「なんでいるの!?」

リッキー 「君が気の毒だからだよ」

ジャック 「よくわかんないけどありがとう」

リッキー 「正直、今回の彼女の行動については僕どうかと思ってるんだ」

ジャック 「あ、そうなんだ」

リッキー 「だから君に手助けをしてあげようと思って」

ジャック 「ほんとに!?」

リッキー 「ほんとだよ!!!!!!」

ジャック 「ええ、怒るとこ?」

リッキー 「あ、つい流れで!」

ジャック 「それで手助けって?」

リッキー 「彼女にちょっとしたイタズラをしようと思って。メイベルは今、あの店をすごく気に入っているんだ。でも彼女潔癖症だろう?だから従業員に手袋をさせてるんだよ」

ジャック 「うん」

リッキー 「それが今の状況さ」

ジャック 「それで?」

リッキー 「じゃあ1か月の禁固生活頑張ってくれ」

ジャック 「!?計画があるんじゃないの?」

リッキー 「メイベルへのイタズラを考えようと思っても何も思いつかなくて」

ジャック 「・・・ほんとに何しに来たんだ」

 

  • 牢獄

 

              ジャックが何言ってんだこいつといった顔をしたまま舞台は牢獄へと戻る。

 

ジャック 「かくして僕は捕まった。復讐相手はあのメイベルさ」

 

ジャック 「もうすぐ刑期が終わる。僕は晴れて自由の身。念願の計画をやっと叶える時が来たんだ!まずは再びあのコンビニで働いて、めっちゃ汚れた手袋をはめてあいつの接客をしてやるんだ!そのあとも思いつく限りいろいろとやってやるんだ!」

 

              「ガチャッ」と音が鳴り、牢屋の扉が開く。

              看守が来る

 

看守 「521番、来い」

ジャック 「きたー!!」

 

              暗転。

 

  • コンビニ

 

              コンビニ内の様子が映し出される。

             ドローンが商品の仕入れを行い、商品棚にほしいものがあればドローンが自動              でレジまで運んでくれるようになっている。

              レジも無人レジ

              つまり、全自動化されている。

              変わり果てたコンビニの様子を入り口から呆然と眺めるジャック。

              すると、はしゃぎながらあのコーンを大量に購入しようとするメイベルが現れる。

 

メイベル 「完璧な状態でミネラルリッチスーパーバニラデニッシュっぽいアップル風味のソフトクリームのコーンが買えるなんて、なんてステキなの!」

 

              リッキーがジャックに話しかける。

 

ジャック 「いやあ、ごめんね。君と護送車で話した後、メイベルがすぐにここを買って全自動化しちゃったんだ。そういうお金はあったみたい。やっぱり流石お金持ちだね。まあでも彼女の喜ぶ姿を見れて僕も嬉しいよ。あ、そういえば出所おめでとう!」

ジャック 「(食い気味に)くそおおおお!!!!!!」

 

 

              終わり。