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13.「謝罪会見 VOL.3 大物俳優編」

G蔵は自身の失態による謝罪会見に臨んでいた。そして冒頭で頭を下げたその瞬間、すべてを理解した。ぎっくり腰だ。いや、もはや腰に抱えている爆弾が爆発してしまうのではないか。とんいかく少しでも動いた時点で腰が終わると感じた。

 

腰に爆弾を抱えたのは高校時代、野球部に所属していた頃のことだ。ある日、練習中に腰に違和感を覚えたが当時は気にせずにいた。しかしそれがまずかった。後日、練習中に倒れて病院に運ばれた。診療後、医者から爆弾を抱えたこと。大きな負荷がかかれば爆発し、歩行困難になってしまうことを告げられた。以降、セーブしながらの練習を強いられ、G蔵にとっての部活動は苦い思い出となってしまった。

 

大学に進学するにあたって、野球からは遠ざかろうと決めた。だからといって代わりにやることもなくだらだらと過ごす日々が続いた。転機は突然訪れた。芸能関係者からスカウトされたのだ。退屈な日々に刺激がほしかったこと、そして元々芸能界にも興味があったことからG蔵はすぐに芸能界へと飛び込んだ。

 

G蔵はすぐさまその才能を開花させた。デビューした映画でアカデミー賞新人賞を獲得し、その後も主演映画や主演ドラマを重ねた。私生活でも結婚し、子宝にも恵まれ、順風満帆に人生を歩んでいた。ただ一点、例外だったのは腰痛だった。

 

ドラマや映画での度重なるアクション撮影により、彼の腰は確実にダメージを負っていた。またG蔵は夜遊びが激しいことで有名だった。結婚後にピタリとやめたと言われているが、秘密裏に遊んでいた。つまり、彼は仕事でも私生活でも腰を多用していたのだ。

 

「騙し騙しで過ごしてきたが遂にここまでか」

会見において、彼の胸中はそれで一杯だった。会見直前までなぜ今回の不倫がばれたのか、言われたとおりにやらないとE美に怒られるといったことを考えてはいたが全てどうでもよくなった。今はいかに安全に頭を上げるか。それのみだった。

 

 

一体、何分経ったのだろう。先ほどまで汗だくだったがそれも乾いてきた。いつまでも我慢も続かない。G蔵は意を決して頭を上げようとした。しかし怖い。だがこのままでは埒が明かない。どうせ謝罪会見は失敗に終わる。腰も一緒に終わらせるかと考えた。

 

ふと、腰の痛みが和らいでいることに気付いた。今が好機と思い、G蔵はゆっくりと頭を上げた。どこかのタイミングで体の中からポキッと音がするのを感じた。

 

「うわあああああ」

 

腰の爆弾が爆発した。